夢見ヶ崎動物公園について
川崎市幸区にある夢見ヶ崎動物公園は、動物たちとふれあえるだけでなく、昔からこの土地に根づいた文化や自然を感じられる、ちょっと特別な公園です。入場無料で、だれでも自由に出入りできるこの場所には、たくさんの歴史や物語がかくれています。
川崎市の桜の名所

夢見ヶ崎動物公園は、川崎市の中でも桜の名所として知られています。園内にはたくさんの桜の木があり、春になるとピンク色の花がいっせいに咲きほこります。動物たちのいる景色と、美しい桜がいっしょに楽しめるのがこの公園ならではの魅力です。
お花見の時期には、家族でお弁当を広げたり、カメラを持って訪れる人が多く、公園はとてもにぎやかになります。レッサーパンダやペンギンたちも、春のあたたかさの中で気持ちよさそうにすごしていて、見る人の心をやさしくしてくれます。
鳥獣保護区としての夢見ヶ崎

夢見ヶ崎動物公園がある加瀬山は、神奈川県の鳥獣保護区(ちょうじゅうほごく)に指定されています。鳥獣保護区とは、野生の鳥や動物を守るために県が決めた特別な区域で、生き物たちが安心してくらせるよう、自然環境が守られています。春や秋には、長い距離を旅する渡り鳥たちの休けい場所として、多くの野鳥が羽を休めにやってきます。
白山古墳と国宝の秋草文壺
夢見ヶ崎動物公園の中には、「白山古墳(はくさんこふん)」という古墳時代につくられたお墓があります。直径は約30メートル、高さは約4メートルあり、6世紀ごろ、この地域をおさめていた有力な人の墓だと考えられています。発掘調査では、土でできた器や鉄の道具などが見つかっています。
この近くで見つかった「秋草文壺(あきくさもんつぼ)」という壺は、平安時代に作られたもので、トンボやすすきなどがていねいにえがかれており、「秋草文壺」の由来となっています。その文化的な価値が高く、川崎市内で出土したものの中で、唯一の国宝にえらばれています。
夢見ヶ崎という名前の由来
この場所の名前「夢見ヶ崎」には、太田道灌(おおたどうかん)という武将の夢にまつわる伝説があります。道灌は、江戸城を築いた人物として知られていますが、昔、この加瀬山にお城を建てようと考えました。ところがある夜、鷲(わし)が自分のかぶとの上に飛んできて、それをくわえて遠くへ飛び去る夢を見たのです。道灌はそれを不吉だと感じ、築城をあきらめたといいます。この出来事から、「夢を見たヶ崎」=「夢見ヶ崎」という名前がついたと伝えられています。※諸説あり
参考文献
川崎市「令和6年4月号市政だより幸区版」https://www.city.kawasaki.jp/170/cmsfiles/contents/0000164/164807/0401_saiwai_web.pdf
ウィキペディア(Wikipedia)「白山古墳」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E5%B1%B1%E5%8F%A4%E5%A2%B3
神奈川県「鳥獣保護区とは」https://www.pref.kanagawa.jp/docs/t4i/cnt/f986/p889837.html
公益財団法人 川崎市文化財団「川崎歴史ガイド – 夢見ヶ崎と 鹿島田」https://www.kbz.or.jp/public/historyguide/pdf/history-guide-06.pdf