ヨウム

物まねがとっても得意だよ。
「おはよう」とか「バイバイ」とか話しかけてみてね。
ヨウム(学名:Psittacus erithacus)は、灰色の羽と赤い尾ばねが特徴的なインコの仲間です。とても知能が高く、人間の言葉をまねるのが得意なことでも知られています。英語では「African Grey Parrot(アフリカン・グレイ・パロット)」と呼ばれており、その名前のとおり、アフリカに生息しています。
体の大きさは約30センチから35センチほどで、体重は400グラム前後。全体的におちついた灰色の羽におおわれていますが、尾ばねだけは真っ赤でとても目立ちます。
ヨウムの特筆すべき点は、その「かしこさ」。オウムの中でもとくに知能が高く、物の名前を覚えたり、色や形を区別できたりすることが研究で確認されています。
住んでいる場所と生活のしかた
ヨウムは、アフリカの西から中部にかけての熱帯雨林地帯に生息しています。とくに、ガーナ、カメルーン、コンゴ民主共和国などの森林地帯に多く見られます。川や水辺の近くを好むことが多く、湿度の高い地域で生活しています。
野生のヨウムは、木の上でくらす「樹上性」の鳥で、地面におりることはめったにありません。木の枝にとまって果物を食べたり、仲間と遊んだりしながらすごします。
また、ヨウムはとても社交的な鳥で、10羽から数十羽の群れを作って行動します。群れの中では、おたがいに声をかけあったり、毛づくろいをしたりして、きずなを深めています。
食べ物と生活のパターン
ヨウムの主な食べ物は、木の実、種子、果物、花の蜜などです。とくに油分の多いナッツ類を好む傾向があります。くちばしはとても強く、かたい殻も簡単に割ってしまう力があります。
野生では地面に落ちた果物をひろったり、枝先に実っている木の実を足でつかんで食べたりするようすが見られます。くちばしと足を上手に使って、バランスを取りながら食事をします。
ヨウムは朝と夕方によく活動し、日中は休んでいることが多いです。夕方になると、木の上に集まって大きな声でさけぶように鳴くことがあり、これが群れの「点呼」のような役割をはたしていると考えられています。
子育てと繁殖(はんしょく)
ヨウムの繁殖期は地域によってちがいますが、多くの地域では乾季の時期に行われます。地域によっては年に2回繁殖することもあります。オスとメスはつがい(ペア)になり、木のうろなどに巣を作ります。木のうろは自然にできたくぼみで、外敵から卵やヒナを守る安全な場所です。
メスは1回の産卵で2〜5個の卵を産み、およそ1か月間温めます。その間、オスが外に出て食べものを集め、メスに運んであげます。ヒナがかえったあとは、オスとメスがいっしょに食べものをあげて育てます。
ヒナは生まれてから数か月で羽ばたくようになりますが、その後も親鳥といっしょに行動しながら社会のルールを学びます。このように、ヨウムは親子のきずながとても強い鳥です。
参考文献
- BirdBaron – African Grey Parrot Facts: Profile, Intelligence, Range, Care (https://www.birdbaron.com/african-grey-parrot-intelligence/)
- WorldBirds – African Grey Parrot: The Ultimate Guide (2024) (https://worldbirds.com/african-grey-parrot/)
- Animal Diversity – Psittacus erithacus grey parrot (https://animaldiversity.org/accounts/Psittacus_erithacus/)
- REDLIST – Grey Parrot (https://www.iucnredlist.org/ja/species/22724813/154428817)