ブラウンキツネザル

英名:Brown Lemur
学名:Eulemur fulvus
分類:脊索動物門 > 哺乳綱 > 霊長目 > キツネザル科

原産地など

原産地はマダガスカル島で、島東部の熱帯降雨林から、西部の乾燥林までさまざまな環境に棲んでいます。

樹上で過ごすことが多く、エサは木の葉や果実、花などです。

公式情報『ゆめみにゅーす』の紹介

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VOL.59 獣医の日記

これまで大した病気をしたことのなかったブラウンキツネザルのこしあんの食欲がちょっと落ち始めたのが昨年の年末でした。そのうち食欲が全くなくなり、お腹を下しはじめ、検査の結果、細菌性の腸炎ということがわかりました。 すぐに治療を開始し、一時は良くなったものの、またぶり返してしまいます。食べなければ体力が落ちてしまいますが、消化管の回復のためにはある程度の絶食も必要です。絶妙なバランスを取りながら、毎日の体調の変化を見て餌も離乳食のようなドロドロしたものから刻んだものまで、試行錯誤して治療にあたっています。普段は人間用の食べ物はダメ!絶対!なのですが、お腹の調子を整えるために乳酸菌飲料をちょっと飲ませたり、体力が落ちないよう人間の赤ちゃん用の離乳食をたべさせてみたり…。ダメな理由の一つでもありますが、人間用の食べ物は味が濃くにおいも強いので美味しく感じるようです。 そして、こしあんの元気のバロメーターとして役立ったのが甘え方。人工哺育で育ったこしあんは、人間を頼ってきます。実は最初にちょっと調子が悪いのでは?と気付いたのも、いつもより甘えてくることに気付いたのがきっかけでした。その日からそれが顕著になり、お腹の調子が悪い日は抱き着いて甘えてきますが、調子が良い日はつれない態度になりました。こしあんにそっけない態度を取られ、「今日は調子がいいのね」と安心する日が多くなってきましたが、まだ食欲は安定せず、うんちも時々ゆるくなるので油断できません。しっかり治そうね。

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VOL.57 獣医の日記

お客さんから見えない動物病院にはいろいろな動物が入院しています。これを書いている現在は高齢のため群れでやっていけなくなったテンジクネズミや傷病野生鳥獣が数えるのも嫌になるほど、白内障で完全に目の見えないブラウンキツネザルのマロ(34歳のご高齢!)、皮膚の調子が悪いニホンアナグマのきなこや趾瘤症と嘴の不正があるフンボルトペンギンなどなど…。入退院による入れ替わりもありますが、長期の入院から居候と呼べる存在もいます。ブラウンキツネザルのオス、ユメオもその1頭に仲間入りしました。白内障で目が見えなくなり、朝に部屋から外へ出ると出入り口がわからず、夕方部屋に入ることができなくなってしまったので、病院の空き部屋で余生を過ごしてもらうことになりました。引っ越し当初は緊張して餌を食べられませんでしたが、今は餌を取り合わなくても十分食べられる環境に慣れ、落ち着いてリラックスしています。視力はほとんどありませんが、明るさはわかるようで、昼間は外を眺め、遠くから聞こえる仲間の声に呼応して鳴くこともあります。ヒトでは白内障は手術で治る病気です。イヌでも専用のレンズが開発され、手術ができるようになってきました。将来は野生動物である彼らにも手術ができるようになるかもしれません。もちろんそれには獣医が日々勉強しなければならないので、今日も専門の本や雑誌を読み、最近はコロナウイルスの影響で開催できない勉強会にもそのうち行き、僭越ながら彼らの役に立つための努力を惜しんではいけないと気を引き締めているところです。

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獣医の日記

動物園だからと言って飼育スペースの余裕や遺伝子の多様性を保つためなど、どんどん動物を増やせない場合もあり、当園の一部キツネザルたちも繁殖を制限するため、オスメスを分けて飼育しています。 2016 年のお正月、ブラウンキツネザルのオスが、展示場の地面を掘って仕切り網をくぐり、メスグループに入り込んだことがあり、その 4ヶ月後のある朝、産まれていた赤ちゃんが発見されることとなりました。ところが翌日、赤ちゃんが衰弱して排水溝に落ちそうになっているのを危機一髪で発見、お母さんの母乳が出ていないことがわかり、人工哺育が始まりました。ついた名前は「こしあん」です。 キツネザルの人工哺育は初めてのことで、ミルクは犬用と人用をブレンドして、ちょうどよい配合が見つかるまで試行錯誤しました。ミルクの回数も、離乳のタイミングも、離乳食も、わずかな資料と、ほかの動 物での経験と、勘を手掛かりに、半分手探りでしたが、もともと体が丈夫だったのでしょう、何とか無事に育ってくれました。 今は、顔をすっかり忘れてしまった産みの母たちと同居してキツネザルらしく生きていけるよう気長に練習中です。われわれ育ての父、母たちはわが子の自立と親離れ、子離れが寂しくてたまらないのですが、見守りながら応援していきます。

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VOL.42 ピックアップ動物

アフリカのマダガスカル島の南部・中央部を除く全域に広く生息しているキツネザルです。野生ではオス・メスが複数ずつ集まった群れで行動することが多いのですが、群れの頭数は増えたり減ったり、一定ではありません。また、昼間に行動することもあれば夜行性になったりもするのですが、その理由はよくわかっていません。他の多くのキツネザルでは、メスがオスより優位な、いわゆるかかあ天下なのですが、ブラウンキツネザルでは性による優劣はありません。主な食物は果実です。 生まれた子どもは母親にしがみついていますが、4か月ほどすると一人で出歩くようになります。大人は木から木へ、全身をばねのように使い見事なジャンプをするのですが、まだミルクを飲んでいる赤ちゃんも、教えたわけでもないのに大人顔負けのジャンプをします。 今年、夢見ヶ崎動物公園では1頭の赤ちゃんが生まれましたが母親の乳が出なかったため、人工哺育しています。当園でも初めてのことで波瀾もありましたが、皆の愛情を一身に受けすくすく育っております。キツネザルである自覚がないため、バックヤードでマロばあちゃんと触れ合う訓練中ですが、そのうち姿をお見せできるかもしれません。

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