ラマ

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ラマって、どんな動物?
ラマは、ウシやヒツジと同じほ乳類のなかまです。ラクダ科に属していますが、アジアやアフリカにいるラクダとはちがい、コブはありません。南米にはラマの他にアルパカやグアナコがいますが、ラマはこのなかまの中で最も体が大きい種類です。
ラマは肩までの高さが約1.21メートル、体の長さは約1.2メートルで、体重は平均140 kg(130 kgから155 kgくらい)です。毛は長く、フサフサしており、色合いは赤茶色に白や黄色の斑点があるパターンが一般的ですが、色が大きく変化する個体もいます。
住んでいる場所と特別な能力
故郷はアンデス山脈
ラマの故郷は、南アメリカにあるアンデス山脈の広い範囲です。特に、ペルー南東部やボリビア西部のアルティプラノと呼ばれる高地の平原が、ラマの自然な生息地でした。
ラマは、海抜2,300メートルから4,000メートル以下の非常に高い場所でくらしていることが知られています。平均的な生息高度は3,000メートルです。この地域は、低い草や低木が生えている山岳地帯です。
高い山で生きるための体のひみつ
ラマは酸素がうすい高地で生きていくための特別な能力を持っています。
血液のひみつ
血液中のヘモグロビン(酸素を運ぶ成分)の量が多く、さらに赤血球の形が楕円形をしています。これらは、酸素の少ない高地で生きるための適応です。
足のひみつ
ラマの足には2本の指があり、その裏には厚い革のような肉球が付いています。この肉球のおかげで、他の家畜のひづめよりも放牧地を荒らすことが少ないと言われています。
食事と社会のルール
何を食べるの?
ラマは草食動物です。主に低い低木や地衣類、山に生えているさまざまな草や低木を食べます。
非常にかんそうした地域に住んでいるため、食べ物からほとんどの水分をとります。ラマは羊やヤギと同じように、胃が3つある反すう動物です。特に、品質の低い繊維質の多い草を食べた場合、羊よりも効率よく消化できることが分かっています。
家族と集団生活
ラマは群れで生活する、とても社交的な動物です。群れは通常、オス1頭、繁殖期のメス約6頭、そしてその年に生まれた子どもたちで構成され、最大20頭になることがあります。
ラマはなわばり意識が非常に強く、オスは自分のなわばりを積極的に守ります。群れのリーダーであるオスは、なわばりをうばいに来た他のオスとはげしいケンカをします。かみついたり、長い首を相手に巻き付けたりして、相手を地面にたおそうとします。負けたラマは、地面に横向きにねそべり、首を下げて、尾を上げるというしせいで降参の意思を示します。
また、ラマはフンをする場所を群れで共有する共同トイレ(ラトリン)を使うことが知られています。これは、なわばりを視覚やにおいで示す役わりがあると考えられています。ラマはとても声が大きい動物で、オオカミやコヨーテなどの天敵が近くにいると、特に大きな声を出してなかまたちに危険を知らせます。
繁殖と子育て
繁殖サイクル
ラマは年に一度繁殖します。妊娠期間は長く、約360日(およそ10〜12ヶ月)です。通常、一度に生まれる子どもは1頭です。生まれたばかりのクリアは約10 kgで、なんと生まれてから約1時間で走れるようになります。主にメスが子どもの世話をし、約1歳になるまで保護し、面倒を見ます。オスはなわばりを守ることで、間接的に群れの子どもたちに十分なエサがあるように守っています。子どもは約4ヶ月間お乳を飲みます。性的には約2歳で成熟します。
寿命
飼育下で大切に育てられたラマは20年以上生きることもありますが、多くは15年ほど生きます。
人間との深いつながり
ラマは家畜化された動物であり、アンデス山脈の先住民にとって欠かせない存在です。ラマは4000〜5500年前に家畜化されたと考えられています。
人間にとっての役わり
ラマは多くの面で人々の生活を助けてきました。昔からアンデス山脈をこえる荷物の運ばん役として欠かせません。去勢されたオスが主に使用され、体重の25〜30%(25〜35 kg)の荷物を背負い、1日に20〜30 km移動することができます。
また、分厚く粗い毛は貴重な資源です。毛は2年に一度刈り取られ、約3 kgの毛が取れます。この毛は、ブランケット、ポンチョ、ロープ、荷物用のふくろなどを作るのに使われます。
ラマは他の動物に対して攻げき的で守る性質があるため、羊やヤギをコヨーテなどの天敵から守るための番犬(ばんけん)ならぬ「番ラマ」として使われることが増えています。ラマを群れに入れることで、羊が天敵におそわれる被害が大はばに減ることが報告されています。
その他にも、肉は干し肉(ジャーキー)に加工され、大切なタンパク源となります。フンは燃料としても使われます。最近では、ペットとして飼われたり、ハイキングのさいの荷物運び(トレッキング)にも使われています。
ラマの現在
ラマは世界中に広まり、現在では絶滅の心配はなく、約300万頭近くが生息しており、その約70%がボリビアにいます。
参考文献
- American Society of Mammalogists.
(2024). Mammal Diversity Database: Lama glama (Llama).
Retrieved from: https://www.mammaldiversity.org/taxon/1006385/ - University of Michigan, Museum of Zoology.
(2024). Animal Diversity Web: Lama glama (llama).
Retrieved from: https://animaldiversity.org/accounts/Lama_glama/ - Global Biodiversity Information Facility (GBIF).
(2024). GBIF Species Profile: Lama glama (Linnaeus, 1758).
Retrieved from: https://www.gbif.org/species/5220190










































