ハクビシン

英名:Masked Palm Civet
学名:Paguma larvata
分類:脊索動物門 > 哺乳綱 > 食肉目 > ジャコウネコ科

原産地など

東南アジアを中心に分布し、日本にも生息しています。額から鼻にかけて白いラインがあることから白鼻芯(はくびしん)と名づけられました。

展示しているハクビシンは、2009年4月に市内で生後約2~3週の状態で保護され、当園に持ち込まれ、職員がミルクを飲ませて育てました。

本来なら成長後、元いた場所に戻すのが良いのですが、人に慣れてしまったこと、親からの学習(敵、食べ物など)を受けていないことなどから、展示することとなりました。

公式情報『ゆめみにゅーす』の紹介

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VOL.77 獣医の日記

春から初夏にかけて、気温が上がり多くの生物が活発になってくると、日本の野生動物も出産・産卵、子育てを始めるものが多くなってきます。それに伴い、動物園に野生動物を持ち込みたいという相談が急増します。鳥の場合はまだ上手に飛べなくても巣を出て(いわゆる巣立ち)完全に自立するまで親が面倒を見る期間があるのですが、これを「飛べない鳥がいた、弱っているのかもしれない」と誘拐してしまう事例が本当に多いです。タヌキの赤ちゃんを親が草むらなどに隠しながら1頭ずつ引っ越しさせている最中に見つけて誘拐されることもしばしばあります。また「カラスや猛禽に襲われていた」と、襲っている方も野生動物で生きるために狩りをしていたのに、わざわざその邪魔をして襲われていた方の動物を連れてくる人もいます。 さらには、「近所にヘビがいた」「ハクビシンが歩いていた」との相談まで来ます。ここは人間だけの土地ではありません。野生生物が暮らしている土地に人間がお邪魔している場合も、人間が暮らす土地に野生生物が適応して生きている場合もあります。 今に始まったことではありませんが、動物ひいては自然と人間の距離感が危うくなっている、そもそも人間は自然の一部ではなかったか…と悶々と思案する季節です。

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VOL.74 ピックアップ動物

中国、東南アジア〜南アジア、台湾などに生息し、日本にはこれらの地域から移入した外来生物と考えられていますが、時期は不明で江戸時代以前とも昭和以降ともはっきりしていません。 長い尾や器用な手足を持ち木の上など高所を移動することが得意で、雑食性で特に果物を好み、高い適応力で都市部にも生息できるため、家屋侵入や農作物の被害などで害獣とされることもあります。 当園の個体はいずれも15歳と高齢で、展示場の他、病院で治療しながら余生を送っているものもいます。なぜか仰向けで目を開けたまま眠る個体が多く、人慣れはしていますがなついているわけではない、ヒトと生活圏を近くする野生動物の興味深い一面がよくみられます。

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VOL.70 獣医の日記

前回は♀のハクビシンの話でしたが、今回は♂のハクビシンの話です。実はしばらく入院しており、姿を見ていないという方も多いと思います。 食欲が落ち、元気もないことから検査したところ、腸管に何か詰まり、腸閉塞になっている可能性があったため、手術することに。腸管から出てきたのは自分たちの毛や植物の線維など、通常であれば自然に排泄されるものがうまく便と一緒に出て行かず、硬い塊になったものでした。術後は元気になったので退院させたのですが、しばらくすると症状が再発してしまい、再入院。今度は投薬による内科療法で良くなってきたところです。 治療中は消化の良いものから食べさせ始め、徐々に通常の食餌内容に戻して経過観察していますが、動きや食欲だけ見れば健康体と変わらず元気いっぱいでいたずらも良くしています。とはいえ、高齢になっておりそもそもの体力や消化管の動きが落ちていると考えられることから、今後のケアについて考えていかなくてはなりません。

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VOL.69 獣医の日記

ある日「雌のハクビシンが1頭、箱にこもって出てこない」と言われ、診察したところお腹の中に硬い塊が…。食欲も全くなく、状態が良くないため緊急でお腹を開けることにしました。 お腹は皮膚の下に皮下脂肪、その下に筋肉の層があり、すべて切らないと内臓は出てきません。恐る恐るチマチマ切ると傷口がガタガタになり、時間もかかりますが、力加減を間違えば内臓を傷つけてしまうので、慎重かつ大胆にメスをふるいます。 この個体はとんでもなく大きな腫瘍が子宮にできていました。取り出すのも、血管を縛るのも一苦労です。無事終わった時は少しだけ達成感がありますが、何せ本人が言葉を発さないため、麻酔から覚め、餌を食べ、無事退院して元通り元気な姿を見るまで安心ができません。 患者はそんな心配どこ吹く風で術後はぐんぐん回復し、あっという間に退院して今は元気に走り回っています。過去にもハクビシンの手術をしたことがありますが、ハクビシンは本当に強い動物だと今回も身をもって感じました。

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