ホンシュウジカ

こどもの時はバンビって呼ばれてるよ。
りっぱなツノがあるのがオスで、1年で生え変わるんだ。

英名:Sika Deer
学名:Cervus nippon centralis
分類:脊索動物門 > 哺乳綱 > 鯨偶蹄目 > シカ科

原産地など

ホンシュウジカはニホンジカの地域亜種7種のうちの一つです。当園のホンシュウジカは神奈川県の丹沢山地に棲息していたシカの子孫になります。

シカ科の動物は原則、オスにだけ角が生え、毎年生え替わります。ホンシュウジカの場合は、毎年4月頃、頭に「こぶ」のようなものが生え、それが皮膚をかぶったまま伸びて「袋角」になります。

繁殖期を迎える9月頃になると、オスは研ぐように角を木の幹などにこすりつけ、やがて皮膚が脱落し骨質だけの硬く鋭い角になります。

オスはこの角を使いメスを巡って競い合いますが、4月頃になると角は自然に脱落し、再び新たな「こぶ」が生えてきます。

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発行 VOL.66 獣医の日記

動物園動物はヒトを見慣れており、野生動物と比べればヒトに慣れてはいます。時々勘違いされるのですが、「慣れている」だけであって「懐いている」というわけではありません。動物種、年齢によって多少異なり、個体差もありますが、見かけただけでは逃げない、餌をねだる、ということはあっても、家畜種ではない動物がヒトに身を任せたりまったく警戒せず弱みを見せたりすることはかなり稀なケースです。 先日、急に群れから距離を置き始めたホンシュウジカが 1 頭いました。群れから離れるというのは、群れから追われかねない理由がある、すなわち体調不良のサインであることがしばしばあります。私たちもすぐその個体をマークし、検査や治療も始めました。が、数日たたないうちに残念ながら死亡してしまいました。子宮に膿がたまり、腎不全も起こしていました。死亡するほんの 30 分前にはしっかり立って餌のニオイを嗅ぐ仕草も見せており、あたかも急死したように見えますが、そこはヒトに弱みを見せない動物です。ギリギリまで不調を隠していた可能性も大いにあります。 相手は弱みを隠すものという前提で、日頃の細やかな観察と引っ掛かるものに敏感である感受性、それらを鍛えるためなんでもない時の動物たちの観察などが、簡単なようで一番難しく、重要なことを痛感させられます。

発行 VOL.63 獣医の日記

秋から冬に繁殖期を迎えるホンシュウジカはオス同士スパーリングを行い互いの力量を測るのですが、しばしば弱いオスが強いオスに追われることがあります。追われるようになった個体は気弱になり、何もなくても逃げ腰になってしまいます。野生では弱さを見せるような個体が群れに存在すると、群れ全体を危険にさらすこともあることがあり、それゆえか逃げ腰のオスは若い個体やメスからも攻撃され、群れから離れたところにぽつんといることが多くなります。 逃げて走り回ることが多いからか、ある時そんな個体の蹄の裏が擦れてしまいました。化膿しないよう投薬し、同時に傷ついた蹄の処置を行う、それも長期戦になるのでシカと職員お互いなるべく負担が少ない方法で…といろいろ試していった結果、大きなバケツに薬入りの餌を入れ、シカ自ら頭を突っ込んで食べてもらっている間にこっそり患部の処置をするという方法に落ち着きました。大きなバケツを被ったような形になるので周囲が見えず不安になるかと思いきや、かえって周りを気にせず餌に集中できるのがこの個体にはよかったようです。食べている間は患部を洗ったり器具で汚い部分をこそぎ落としたり、多少痛みを伴う処置でもそんなに神経質に気にせずやらせてくれます。 先ほども書きましたが、長期戦が予想されます。蹄はヒトの爪にあたるものですが、毎日地面に触れ、体重をかけるので摩耗して減っていきます。加えて、寒い時期は伸びるのが遅いため、傷が治り、さらに元に戻るには時間がかかります。それまで今のやり方に飽きないでほしいな…と願いながら毎日治療しています。

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