VOL.74 獣医の日記

ヤギのライが亡くなりました。13 歳でした。時々の削蹄や定期的な駆虫、乳房炎などはありましたが、ずっと概ね健康に過ごしてきました。今年の春くらいから少しずつ衰えが見え始め、飼育担当が餌の嗜好性を高めようと色々工夫する中、検査の結果判明した貧血等の治療をしていました。 体の大きさや個体の性格もあるので一概には言えませんが、野生動物と家畜が最も異なる部分のひとつが診療のしやすさです。人間が長い歴史をかけて管理してきた家畜種は、治療のための保定も投薬もうまくやれる方法が確立されていることが多く、ライもご多分に漏れず素直に検査を受け、薬は好物のペレットやふすまと一緒に亡くなる前日までモリモリ食べてくれていました。 動物園の動物の多くは野生種なので、こんなに協力的なものはいないぞ…と自分に言い聞かせ、感謝しながら処置する日々でした。とは言うものの、治療以外での付き合いの方が長く、若い頃の気難しかった姿や、時々甘えて顔を擦り付けてきた仕草など、色々思い出されます。ライ、ありがとう。

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