VOL.59 獣医の日記
これまで大した病気をしたことのなかったブラウンキツネザルのこしあんの食欲がちょっと落ち始めたのが昨年の年末でした。そのうち食欲が全くなくなり、お腹を下しはじめ、検査の結果、細菌性の腸炎ということがわかりました。 すぐに治療を開始し、一時は良くなったものの、またぶり返してしまいます。食べなければ体力が落ちてしまいますが、消化管の回復のためにはある程度の絶食も必要です。絶妙なバランスを取りながら、毎日の体調の変化を見て餌も離乳食のようなドロドロしたものから刻んだものまで、試行錯誤して治療にあたっています。普段は人間用の食べ物はダメ!絶対!なのですが、お腹の調子を整えるために乳酸菌飲料をちょっと飲ませたり、体力が落ちないよう人間の赤ちゃん用の離乳食をたべさせてみたり…。ダメな理由の一つでもありますが、人間用の食べ物は味が濃くにおいも強いので美味しく感じるようです。 そして、こしあんの元気のバロメーターとして役立ったのが甘え方。人工哺育で育ったこしあんは、人間を頼ってきます。実は最初にちょっと調子が悪いのでは?と気付いたのも、いつもより甘えてくることに気付いたのがきっかけでした。その日からそれが顕著になり、お腹の調子が悪い日は抱き着いて甘えてきますが、調子が良い日はつれない態度になりました。こしあんにそっけない態度を取られ、「今日は調子がいいのね」と安心する日が多くなってきましたが、まだ食欲は安定せず、うんちも時々ゆるくなるので油断できません。しっかり治そうね。