VOL.60 獣医の日記
先日、レッサーパンダたちの健康診断を行いました。フィラリアの予防薬を飲ませるための血液検査(フィラリアが感染していない状態でないと安全に予防薬を飲ませることができないため)に加え、麻酔をかけた状態で全身くまなく触ったり、レントゲンを撮ったり、心電図を撮ったり、耳掃除をしたり、歯のチェックをしたり、この他にもやることがたくさんです。ケイコは次の誕生日で満 6歳、アンとファファは満11歳になります。動物園で暮らすレッサーパンダは長くて20年ほどの寿命なのでアンとファファは健康により注意が必要なお年頃になってきました。検査でしっかり見なければいけない項目も昔より増えています。健康診断にはこうした個体ごとの体調チェックの他にも、もうひとつ重要な意味があります。野生動物の健康に関するデータは家畜と比べてとても少なく、まだまだわからないことだらけで、動物園で飼育されている動物たちの検査結果を積み重ねていくことが彼らの未来の健康を守るための地道な手段でもあります。今はまだわからないことがわかって、治りにくいものが治るようになって、寿命も少し伸びるかもしれない。野生で生きる彼らの助けになることがあるかもしれない。そんなことを思いながらやっています。