VOL.64 獣医の日記

動物園の動物を診察する際、いつも病院に連れて行くわけではありません。動物の大きさや種類、状態によっていつものグラウンドや寝室で保定したり、その場で麻酔や鎮静をかけたりすることもあります。捕まえて病院に連れて行く場合も、種類によって大人しく抱っこして行けるもの、ケージなどに追い込むもの、素手や革手袋、タオルや麻袋で保定するもの、網で捕まえるものなど様々です。 タヌキのげんまいは母親が巣の引っ越しをしている最中に排水溝に隠していたのを子犬と間違って誤認救護(私達は誘拐と呼んでいます)され、野生に戻せなくなった人工哺育の個体です。ヒトに慣れていますが、一部の職員にベタベタでそれ以外にはそうでもなく、ミルクを飲ませてつきっきりの世話をしたかどうかもあまり関係なく、好みの問題のようです。そんな彼女の毎年の健康診断は、お互いにストレスが無いよう、抱っこしてケージに入れられる、彼女に気に入られた職員が揃っている日に決行することになっています。それでも毎回円満には行かず、臭腺の分泌液を掛けられますが、終わったあとは変わらぬ態度で接してくれるので、次の健康診断もスムーズに出来るよう、普段からちょくちょく顔を出し良い関係を崩さぬよう努めています。

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