VOL.69 獣医の日記

ある日「雌のハクビシンが1頭、箱にこもって出てこない」と言われ、診察したところお腹の中に硬い塊が…。食欲も全くなく、状態が良くないため緊急でお腹を開けることにしました。 お腹は皮膚の下に皮下脂肪、その下に筋肉の層があり、すべて切らないと内臓は出てきません。恐る恐るチマチマ切ると傷口がガタガタになり、時間もかかりますが、力加減を間違えば内臓を傷つけてしまうので、慎重かつ大胆にメスをふるいます。 この個体はとんでもなく大きな腫瘍が子宮にできていました。取り出すのも、血管を縛るのも一苦労です。無事終わった時は少しだけ達成感がありますが、何せ本人が言葉を発さないため、麻酔から覚め、餌を食べ、無事退院して元通り元気な姿を見るまで安心ができません。 患者はそんな心配どこ吹く風で術後はぐんぐん回復し、あっという間に退院して今は元気に走り回っています。過去にもハクビシンの手術をしたことがありますが、ハクビシンは本当に強い動物だと今回も身をもって感じました。

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