アメリカアカリス

樹の上ではおおきなしっぽでバランスをとるんだ。
木の実やキノコ、くだものを食べるよ。

英名:American Red Squirrel
学名:Tamiasciurus hudsonicus
分類:脊索動物門 > 哺乳綱 > 齧歯目 > リス科

アメリカアカリスの特徴

アメリカアカリス(学名:Tamiasciurus hudsonicus)の体長は、しっぽを含めて約30センチメートルほどで、体重は最大でも約312グラムと、とても小さな哺乳類です。ふさ濃い赤色で、まわりに白いフチがあるふさふさのしっぽを持っており、黒い目の周りを囲むように、太い白い輪があるのも特徴です。体の色は灰色、赤色、またはサビ色をしており、お腹は白色です。夏毛では、体の横にうっすらと黒い線が見えることもあります。

どこに住んでいるの?

アメリカアカリスは、アメリカ合衆国(アラスカ、ジョージア州より北の東海岸、ロッキー山脈)や、カナダのほとんどの地域に広く生息しています。
彼らが特に好むのは、マツやトウヒなど、葉が針のように尖っている木が多い針葉樹の森です。ただし、オーク(ナラ)やヒッコリーなどの実のなる木があれば、広葉樹の森にも住むことがあります。

冬のための大切な食料貯蔵

アメリカアカリスは、主に針葉樹の種や松ぼっくりを食べます。そのほかにも、ベリーや果物、鳥の卵、キノコ、樹液なども食べることがあります。
彼らは賢く、一年中活動しています。冬の食べ物が少なくなる時期に備えて、夏の間、種や木の実を集めて隠します。倒木や岩の下、地下の穴などにミデン(Midden)と呼ばれる大きな食糧庫に集めた松ぼっくりなどをため込みます。

リスたちは時々、どこに種を隠したかを忘れてしまいますが、この「忘れ物」のおかげで、種が新しい場所で芽を出し、意図せず森に木を植えることになり、生息地の環境に役立っています。
また、アカリスは時として、巣にいるヒナ鳥や卵、ネズミや子ウサギなどを襲って食べる捕食者となることも報告されています。

縄張りとコミュニケーション

アメリカアカリスは、とても縄張り意識が強い動物。自分より2倍も大きな他のリスを追いかける姿が見られるほど、攻撃的になることがあります。
彼らは、自分の縄張りや、冬の食料庫(ミデン)を守るために、尿をつけたり、頬を枝にこすりつけたりして、自分の縄張りであることを他のリスに知らせます。また、長く下がっていくような「トロール音」や、さまざまな音を混ぜたおしゃべりでコミュニケーションをとります。これは、他の動物への警戒や、仲間とのコンタクトに使われます。

ちょっと知っておきたいこと

絶滅危惧の仲間

アメリカアカリスという種全体は「絶滅危惧種ではない (Not Listed)」とされていますが、彼らの亜種の一つであるマウントグラハムアカリス(T. h. ssp. grahamensis)は、絶滅危惧種(Endangered)に指定されています。

参考文献

  1. National Wildlife Federation – American Red Squirrel
  2. U.S. Fish & Wildlife Service – Red Squirrel (Tamiasciurus hudsonicus)
  3. WILDLIFE SPECIES: Tamiasciurus hudsonicus (Fire Effects Information System)
  4. University of Wisconsin‑Stevens Point Vertebrate Collection – Tamiasciurus hudsonicus

公式情報『ゆめみにゅーす』の紹介

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VOL.62 ピックアップ動物

北米大陸の針葉樹林などに生息し、木の実やキノコ、果物などを食べます。 秋から冬にかけて発情期を迎えるオスの睾丸は初めて見る人ならびっくりするくらい大きくなり、気性も荒くなります。ここでメスとの交尾が成立、妊娠すると春から初夏にかけてメスは出産期を迎えます。自然界では木のうろなど、動物園では巣箱の中で出産するので、こどもはある程度大きくなるまでお目見えしません。今年生まれた2頭のこどもも、発見は7月でしたが、生まれておそらく1か月以上は経っていた状態でした。最近リスの食欲が増している、メスの乳首が張っている…これは赤ちゃんが生まれているのではないか?と思っていたところだったので、発見した時は「ああやっぱり」の安堵感もあり、喜びもひとしおでした。 動きがせわしなく、ゆっくり観察するのも難しいですが、後肢の関節が柔らかく、爪先を180°回転した状態で垂直な木を逆さまに降りるので、初めて見たらびっくりするかもしれません。

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VOL.52 ピックアップ動物

北アメリカ大陸の森林地帯に生息します。3月に日立市かみね動物園からやってきた3頭が、このたび展示場にお目見えしました。これまで展示場にいた高齢のカンタロウは、引き続き病院でのんびりと療養生活を送っています。 野生では木の実や果実、花やキノコなどを食べ、食べ物が少なくなる冬に備えて秋に見つけた食べ物をあちこちに埋める「貯食」行動を取りますが、場所がわからなくなるなどして掘り返されなかった木の実が春に芽を出し、やがて木になることも。貯食は大事な本能なので、飼育下でも巣箱の中や陰などに餌を隠しています。トンネル通路のちょっとしたでっぱりの陰にも隠すのですが、実は下から見ると丸見えです。

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VOL.51 獣医の日記

アカリスのカンタロウが入院してしばらく経ちます。若くて元気なうちは良かったのですが、だんだん高齢になり、足腰が弱ってしまい、展示スペースで上り下りをするのがきつくなっただけではなく、高いところから落ちてけがをしかねない状態になったため、病院に収容しました。 年を取ることは病気ではありませんが、そのために出てきたつらい症状や不便は取ってあげられる場合もあります。現在カンタロウは、あまり高さのないケージに、様子が確認しやすい屋根なし巣箱と細かく切ったわらの巣材の入った、カンタロウカスタマイズした部屋で過ごしています。巣箱にこもっていることが多く、あまり動かないので、毎朝病院に入るたび、ケージを覗いて様子を確認するのが日課です。以前、関節炎を患ったヤギにグルコサミンのサプリを与えたところ、良い効果が見られたことがあったので、カンタロウにも与えていますが、今のところ大きな変化はなく、ただ以前より巣箱から出ている姿が見られるようになったかな?という気はしています。 動物園の病院には老いた動物が穏やかに過ごす場所としての役割もあります。病院に入院動物は少ないに越したことはないのですが、病院での作業中の合間にチラリとでも、彼らがここで穏やかに過ごせているのを感じると、ちょっとほっとするのも本音です。

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VOL.50 アカリス・カンタロウ入院中

アカリスのカンタロウが、足腰の調子が悪く、病院に入院しています。冬の寒さに耐える体力が厳しいかもしれないので、少なくともしばらくは暖かい室内で過ごす予定です。姿が見えないことでご心配をおかけしておりますが、落ち着いてぬくぬく過ごしております。

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