インドクジャク

羽の色が派手なのがオス、地味なのがメス。
3月ごろになるとオスは羽を広げてメスに求愛するんだ。

英名:Indian Peafowl
学名:Pavo cristatus
分類:脊索動物門 > 鳥綱 > キジ目 > キジ科

インドの国鳥

インドクジャクは、インドやスリランカに住んでいる大きな鳥です。インドの国鳥として、とても大切にされています。古くからヒンドゥー教やギリシャ神話に登場して、人々に愛されてきました。サンスクリット語では「ヘビを殺すもの」という意味の名前で呼ばれています。毒ヘビのコブラの子どもを食べることがあるからです。

もともとの住みかは、インド、スリランカ、パキスタン、ネパール、ミャンマーなどです。その美しさから世界中に連れていかれて、今ではたくさんの国で飼われています。

どんな姿をしているの?

オスとメスでずいぶん姿がちがいます。

オス

オスは「ピーコック」と呼ばれます。首と胸はあざやかな青色で、背中には金色の羽毛があります。頭のてっぺんには扇のような形の冠羽があります。

いちばんの特徴は、「トレイン」と呼ばれる長くて美しい飾り羽です。平均で1.2メートルくらいあります。この飾り羽には目玉のような模様がたくさん並んでいます。メスに気に入ってもらおうとするとき、この羽を大きな扇のように広げます。

飾り羽は6月から12月まで美しい状態が続きますが、1月になると抜け落ちます。次の繁殖期が近づくと、またすぐに生えてきます。

オスの体重は4キロから6キロくらい。翼を広げると1.4メートルから1.6メートルにもなります。

メス

メスは「ピーヘン」と呼ばれます。体の色は茶色や灰色、クリーム色で、オスのような派手な飾り羽はありません。これは卵をあたためているとき、敵に見つかりにくくするためです。メスの体重は2.7キロから4キロくらいです。

どこに住んでいるの?

落葉樹のある広い森が大好きです。特に水辺の近くで、人があまり来ない場所を好みます。もともと住んでいる地域では、標高900メートルから1200メートルくらいの場所にいます。

寒さにも意外と強くて、イギリス南部のような寒い場所でも、簡単な小屋があれば冬を越せます。動物園や公園で飼われていることも多いです。

何を食べるの?

いろいろなものを食べます。虫やミミズ、トカゲ、カエル、ヘビなどの小さな生き物が大好きです。とくにシロアリは大好物です。木のつぼみや花びら、穀物、草、竹の芽なども食べます。

食べ物をすりつぶすために、小さな石を飲みこんで胃の中にためておきます。水をたくさん飲む必要があるので、水辺の近くにいることが多いです。

どんな生活をしているの?

昼間に活動します。夜は安全のために高い木の上で眠ります。まず低い枝に飛び上がって、そこから少しずつ高い場所まで移動します。

オスはふだんは一人か、ほかのオスと小さなグループで暮らしています。メスも一人か、2〜3羽のグループで行動します。とても用心深くて、いつも周りを見回して敵がいないか確かめています。

大きな声でよく鳴きます。鳴き声はとても大きくて、するどい声です。危険を感じたときは警戒の声を出して、仲間に知らせます。

体を水でぬらすと羽が重くなってしまうので、水浴びはしません。代わりに砂浴びをして、体についた虫を落とします。羽のお手入れにもたくさんの時間をかけます。

繁殖

繁殖期になると、オスは自分のなわばりを守って、メスを集めます。強いオスは最大6羽のメスと暮らします。

メスがオスを選ぶとき、飾り羽の目玉模様の数がとても大切です。目玉模様が多いオスは、健康で強い証拠だからです。目玉模様の多いお父さんから生まれた子どもは、丈夫に育つ可能性が高くなります。

メスは地面に乾いた枝や葉っぱで巣を作ります。3個から5個の卵を産みますが、多いときは12個も産むことがあります。約28日間あたためると、ヒナが生まれます。生まれたばかりのヒナはちゃんと羽毛があって、すぐに歩けます。約1週間で飛べるようになります。

オスは3歳になるまで、あの美しい飾り羽が完全には生えそろいません。

絶滅の心配は?

IUCNという自然を守るグループは、インドクジャクを「低懸念」として評価しています。これは「今のところ絶滅の心配は少ない」という意味です。2002年の調査では、世界に10万羽以上いると考えられています。

インドでは文化的にも保護されていて、大切に守られています。

出典

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