シセンレッサーパンダ

丸い大きな頭に三角の大きな耳。
シマシマのしっぽはフサフサ。竹の葉っぱが大好物なんだ。

英名:Red Panda
学名:Ailurus fulgens styani
分類:脊索動物門 > 哺乳綱 > 食肉目 > レッサーパンダ科
絶滅危惧種危急 (VU)危機 (EN)深刻な危機 (CR)

Endangered - 野生で絶滅するおそれが非常に高いと考えられています

レッサーパンダってどんな動物?

レッサーパンダは、ヒマラヤ山脈の東側や中国の南西部にある高い山の森に住んでいる動物です。ふわふわの赤茶色の毛に包まれています。ジャイアントパンダと名前が似ていますが、実は全く違う仲間の動物なんですよ。レッサーパンダは、レッサーパンダ科という独自のグループに属していて、この仲間は世界中でレッサーパンダだけなんです。

体の特徴

見た目

レッサーパンダ(学名:Ailurus fulgens styani)の体は赤茶色のふわふわした毛でおおわれています。お腹と足は黒くて、顔には白い模様があります。長いしっぽには茶色と白のしま模様があって、このしっぽはバランスをとるときに使うだけでなく、寒いときには体に巻きつけて毛布のように使うこともあります。

特別な体のつくり

レッサーパンダには「第6の指」と呼ばれる特別な部分があります。これは手首の骨が変化してできたもので、親指のように使うことができます。この指があるおかげで、竹をしっかりつかんで食べることができるんです。ジャイアントパンダも同じような指を持っています。

レッサーパンダは木登りがとても上手です。するどいツメを持っていて、頭を下にして木を降りることができます。このような動き方ができる動物は、世界でもあまりいません。

どこに住んでいるの?

生息地

レッサーパンダは、ネパール、インド、ブータン、中国、ミャンマーといった国の山の中に住んでいます。標高の高い場所にある、竹がたくさん生えている涼しい森が、レッサーパンダにとって一番住みやすい場所です。暑さは苦手で、寒い場所の方が好きなんです。

食べ物

レッサーパンダは肉食動物のグループに分類されていますが、実際に食べているものの約95パーセントは竹です。タケノコや竹の葉を主に食べています。竹以外には、果物、木の根、鳥の卵なども食べます。時には虫や小さな動物を食べることもあります。

竹は栄養があまりないので、レッサーパンダは1日の大半を休んで過ごします。こうすることで、少ないエネルギーでも生きていけるようにしているんです。

生活のしかた

レッサーパンダは基本的に1匹で生活します。朝早い時間と夕方に活発に動いて、昼間は木の上で休んでいることが多いです。木の上で生活することが多くて、木登りや木の枝を渡ることがとても得意なんですよ。

レッサーパンダは絶滅の危機にある

現在の状況

レッサーパンダは、IUCN(国際自然保護連合)という世界的な組織によって、絶滅危惧種に指定されています。野生に住んでいるレッサーパンダの数は、とても少なくなっていて、今も減り続けています。

なぜ数が減っているの?

どうしてレッサーパンダの数が減ってしまったのでしょうか。大きな理由が3つあるんです。

1つ目は、住む場所がなくなっていることです。人間が森を切って畑や道路を作るため、レッサーパンダが住める森が減っています。森が小さく分かれてしまうと、レッサーパンダ同士が出会えなくなって、子孫を残すことが難しくなります。

2つ目は、密猟です。レッサーパンダの美しい毛皮を目当てに、違法に捕まえる人がいます。ペットとして売るために捕まえられることもあります。

3つ目は、気候変動です。地球の気温が変わることで、レッサーパンダが住みやすい環境が変化しています。竹が育つ場所も変わってきているため、食べ物を見つけることが難しくなっています。

レッサーパンダの分類

レッサーパンダは、レッサーパンダ科という独自の科に属する唯一の動物です。昔は、アライグマの仲間やクマの仲間だと考えられていたこともありましたが、最近の遺伝子の研究で、レッサーパンダは独自の進化をたどってきたことがわかりました。

遺伝子的には、アライグマやイタチ、スカンクなどが含まれるグループに近いことがわかっています。ジャイアントパンダとは名前が似ていますが、実はあまり近い親戚ではありません。ジャイアントパンダはクマの仲間なんですよ。

参照・出典元

  1. IUCN (International Union for Conservation of Nature). IUCN Red List of Threatened Species: Ailurus fulgens. Retrieved from: https://www.iucnredlist.org/
  2. Smithsonian’s National Zoo & Conservation Biology Institute. Red Panda (Ailurus fulgens). Retrieved from: https://nationalzoo.si.edu/animals/red-panda
  3. World Wildlife Fund (WWF). Red Panda Species Profile. Retrieved from: https://www.worldwildlife.org/species/red-panda

公式情報『ゆめみにゅーす』の紹介

発行 
VOL.75 獣医の日記

昨年11月末頃から、時々レッサーパンダのケイコが朝からエサを食べずに巣箱にこもることが出てきました。丸1日くらい経過するといつものコロコロした糞ではなく大量の粘液を排泄し、スッキリして急にいつも通り元気食欲が回復します。これで終わりならよかったのですが、その後も数日おきに症状を繰り返すようになってしまいました。この症状自体はパンダによくみられるもので、原因ははっきりとわかっていないものの竹の消化不良による腸炎ともいわれており、治療の必要はなく自然に治るものとして知られています。治療の必要がないといっても、おそらくは腹痛があると思われ、何とかしてやりたいなぁという気持ちと、何もできないもどかしさがある中、試しに整腸剤を与え始めたところ、年が明けてからはだいぶ状態が落ち着いてきました。毎朝、元気な表情と動きをみるとほっとします。 実は以前夢見にいたケイコの双子の兄弟・ケンタが時々このような状態になっており、ケイコは3年前に一度なって以降久しぶりの再発、両親のアンとファファに至っては一度もありません。神経質な性格が影響しているのかは不明ですが、このまま落ち着いてくれることを願いつつまだまだ気は抜けません。

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VOL.72 獣医の日記

先日、やぐらの上からなかなか降りてこないレッサーパンダのケイコのおしりにウンチがぶら下がっているのを発見し、思わず手を伸ばして取ってしまいました。よく見ると、普段は竹の葉がそのまま出てくるようなウンチに、竹ではなく毛がみっちり詰まった状態でした。換毛期ゆえ毛づくろいで飲み込んだ毛がウンチと一緒に出てきたようです。 ウンチは健康のバロメーター。飼育担当も獣医も匂いや色、形などをよく見ます。特に獣医は細かく砕いたり溶かしたり顕微鏡で覗いたり、詳しく検査します。汚いと言っていられない…というより、しっかり清掃消毒すれば必要以上に汚いと言って嫌がるものではないという意識があるためか、昼ご飯を食べながらウンチの話題(もちろん診療関係の議論ですが)を交わしていることも日常です。

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VOL.60 獣医の日記

先日、レッサーパンダたちの健康診断を行いました。フィラリアの予防薬を飲ませるための血液検査(フィラリアが感染していない状態でないと安全に予防薬を飲ませることができないため)に加え、麻酔をかけた状態で全身くまなく触ったり、レントゲンを撮ったり、心電図を撮ったり、耳掃除をしたり、歯のチェックをしたり、この他にもやることがたくさんです。ケイコは次の誕生日で満 6歳、アンとファファは満11歳になります。動物園で暮らすレッサーパンダは長くて20年ほどの寿命なのでアンとファファは健康により注意が必要なお年頃になってきました。検査でしっかり見なければいけない項目も昔より増えています。健康診断にはこうした個体ごとの体調チェックの他にも、もうひとつ重要な意味があります。野生動物の健康に関するデータは家畜と比べてとても少なく、まだまだわからないことだらけで、動物園で飼育されている動物たちの検査結果を積み重ねていくことが彼らの未来の健康を守るための地道な手段でもあります。今はまだわからないことがわかって、治りにくいものが治るようになって、寿命も少し伸びるかもしれない。野生で生きる彼らの助けになることがあるかもしれない。そんなことを思いながらやっています。

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VOL.51 パンダのやぐら

体調を崩した動物の一部は、病院に入院して治療をします。病院の常連になるのは当然好ましいことではないのですが、まったく病気もけがもなく過ごす動物がいる一方で、たびたび入院する個体もいます。 そのうちの1頭がプレーリードッグのオス、ピーターです。歯を折ったり、顎に膿がたまったりして何度も入院しているのですが、今回は皮膚に真菌(カビの仲間)が感染して毛が抜けてしまい、しっかり治すために入院することになりました。 病院慣れしているピーターは、以前の入院でも我が家のようにくつろぎ、ヒトが部屋に入ってくると、かまってほしくて声を上げ、あごやお腹を撫でてもらってウットリしていたのですが、今回の入院はプレーリードッグのオスが発情期を迎え、非常に攻撃的になる冬です。現に、入院直前のピーターは、清掃や給餌でやむなく展示場に入る職員を威嚇し、時には飛び掛かって噛みついてくるほどでした。こんな状態での入院だったので、病院でも以前のように甘えてくるどころか、おとなしくしていないのだろうな…と思っていたのですが。不思議なことに、入院翌日から嘘のようにおとなしくなり、以前のように甘えるのです。他の個体と一緒の時は強いオスとしてメスを手に入れなくてはならないのですが、その必要がなくなったからなのか、それとも入院室がよっぽど落ち着くのか、真相はわからないものの、良い患者さんなので助かっていることは確かです。

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VOL.48 パンダの婿入り

4 月4日、レッサーパンダのケンタが繁殖のため、兵庫県にある姫路セントラルパークへ引っ越しました。かわいい顔で体が大きく力も強く、毎晩のように寝室では自分より重い木箱をひっくり返す「暴れん坊」だったので、その存在感は一際で、職員もいなくなった寂しさをひしひし感じています。 これからは姫路で元気に存在感を発揮してくれることを皆様とともに祈っております。ケンタ、元気でね!

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VOL.40 獣医の日記

この冬は暖冬でしたが、暖かくなるのも心なしか早く、動物たちの春の渡りやうごめきも早いような気がします。 暖かくなると出てくる動物のひとつが蚊です。今年は4月半ばには飛び回っておりました。 蚊に刺されるとかゆくて不快なだけでなく、衛生害虫と呼ばれ、蚊が媒介する病気が深刻です。人間ではデング熱や日本脳炎などのウイルスが有名ですが、赤血球に寄生するマラリア、血管に寄生するフィラリアなどの寄生虫も運びます。血を吸われるときに、病原体を動物に感染させていくので、水場が多く、屋外で過ごす動物が多い動物園にとっては嫌な存在です。しかし、たとえばフィラリアであれば、蚊に刺されて動物の体の中に侵入した子虫を薬で殺すことができるため、レッサーパンダたちは蚊の季節は毎月1回薬入りのリンゴを食べることで健康を保っています。現在 4頭いるパンダのうち、3頭は上手にりんごを片手でつかんで食べるのですが、ケイコはまだまだ下手っぴなため、薬を上手に食べられるか心配です。ただし、血を吸わない種類の蚊もいます。血を吸う種類であっても、メスが産卵準備の時期に吸うだけです。それも、気温が15℃を超えてこないと吸血しないと言われています。…とわかっていても、飛んでいるのを見るだけで警戒してしまうのですが。 ちなみに、リスザルやオマキザルたちは、しばしば涼しい顔をして蚊を片手でキャッチしています。動体視力も反応の速さも、かないません。

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