シセンレッサーパンダ

丸い大きな頭に三角の大きな耳。
シマシマのしっぽはフサフサ。竹の葉っぱが大好物なんだ。

英名:Red Panda
学名:Ailurus fulgens styani
分類:脊索動物門 > 哺乳綱 > 食肉目 > レッサーパンダ科
絶滅危惧種危急 (VU)危機 (EN)深刻な危機 (CR)

Endangered - 野生で絶滅するおそれが非常に高いと考えられています

レッサーパンダの生態と特徴

レッサーパンダの基本情報

レッサーパンダ(学名:Ailurus fulgens)は、レッサーパンダ科に属する哺乳類。見た目はアライグマやタヌキに似ていて、体の大きさは約50cmから63cm、体重は3kgから6kgほどです。長いしっぽには、うすい茶色のしま模様があり、とてもかわいらしい見た目をしています。

レッサーパンダが住んでいるのは、インド北東部や中国南部、ネパール、ミャンマー北部などの森や竹やぶです。特に、標高1500mから4800mの、涼しくて湿った森に多く生息しています。

住んでいる場所と生活のしかた

レッサーパンダは、高い山の森や竹やぶの中でくらしています。木の上で生活するのが得意な動物で、昼間は木の上で休むことが多いです。夜や朝夕に活動することが多いため、夜行性または薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)といわれています。

オスとメスはそれぞれ縄張りを持っていて、オスは臭いを出す腺(せん)を使って自分の縄張りを示します。

食べ物と生活のパターン

レッサーパンダは竹が大好きですが、タケノコや小さな動物、鳥の卵、虫、果物なども食べます。歯は、植物をすりつぶしやすい形をしていますが、もともと肉を食べる動物と同じような消化器官を持っているため、竹をうまく消化できません。そのため、レッサーパンダはたくさんの竹を食べる必要があります。

子育てと繁殖(はんしょく)

6月から8月が繁殖期(赤ちゃんを産む時期)で、お母さんのおなかの中で赤ちゃんが育つ期間は90日から150日ほどです。

絶滅の危機と保護活動

レッサーパンダが少なくなっている理由

レッサーパンダは、今では絶滅の危機にある動物として知られています。野生のレッサーパンダは5000頭以下しかいないと考えられています。その原因には、森がなくなること、毛皮をとるための密猟(みつりょう)、ペットとしての売買などがあります。

特に、森が減ってしまうことは深刻な問題です。レッサーパンダの住む場所がなくなれば、えさを食べることも、安全にくらすこともできなくなってしまうからです。

野生のレッサーパンダの数

1994年の調査では、中国にいるレッサーパンダは約2500頭、ネパールでは300頭ほどで、今ではさらにその数が減っていると考えられています。現在、日本の動物園では約250頭が飼育されており、世界のレッサーパンダの4分の1が日本にいることになります。そのため、動物園での保護活動がとても大切になっています。

レッサーパンダを守るための国際的な取り組み

レッサーパンダは、1975年からワシントン条約で守られており、1995年にはさらに厳しく保護されることになり、個人がレッサーパンダをペットとして飼うことは法律で禁止されています。

世界中で、レッサーパンダの保護と繁殖を進める活動が行われており、森を守る努力も続けられています。これらの活動は、レッサーパンダが生きのびるためにとても大切で、今後も守り続けることが必要なのです。

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VOL.75 獣医の日記

昨年11月末頃から、時々レッサーパンダのケイコが朝からエサを食べずに巣箱にこもることが出てきました。丸1日くらい経過するといつものコロコロした糞ではなく大量の粘液を排泄し、スッキリして急にいつも通り元気食欲が回復します。これで終わりならよかったのですが、その後も数日おきに症状を繰り返すようになってしまいました。この症状自体はパンダによくみられるもので、原因ははっきりとわかっていないものの竹の消化不良による腸炎ともいわれており、治療の必要はなく自然に治るものとして知られています。治療の必要がないといっても、おそらくは腹痛があると思われ、何とかしてやりたいなぁという気持ちと、何もできないもどかしさがある中、試しに整腸剤を与え始めたところ、年が明けてからはだいぶ状態が落ち着いてきました。毎朝、元気な表情と動きをみるとほっとします。 実は以前夢見にいたケイコの双子の兄弟・ケンタが時々このような状態になっており、ケイコは3年前に一度なって以降久しぶりの再発、両親のアンとファファに至っては一度もありません。神経質な性格が影響しているのかは不明ですが、このまま落ち着いてくれることを願いつつまだまだ気は抜けません。

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VOL.72 獣医の日記

先日、やぐらの上からなかなか降りてこないレッサーパンダのケイコのおしりにウンチがぶら下がっているのを発見し、思わず手を伸ばして取ってしまいました。よく見ると、普段は竹の葉がそのまま出てくるようなウンチに、竹ではなく毛がみっちり詰まった状態でした。換毛期ゆえ毛づくろいで飲み込んだ毛がウンチと一緒に出てきたようです。 ウンチは健康のバロメーター。飼育担当も獣医も匂いや色、形などをよく見ます。特に獣医は細かく砕いたり溶かしたり顕微鏡で覗いたり、詳しく検査します。汚いと言っていられない…というより、しっかり清掃消毒すれば必要以上に汚いと言って嫌がるものではないという意識があるためか、昼ご飯を食べながらウンチの話題(もちろん診療関係の議論ですが)を交わしていることも日常です。

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VOL.60 獣医の日記

先日、レッサーパンダたちの健康診断を行いました。フィラリアの予防薬を飲ませるための血液検査(フィラリアが感染していない状態でないと安全に予防薬を飲ませることができないため)に加え、麻酔をかけた状態で全身くまなく触ったり、レントゲンを撮ったり、心電図を撮ったり、耳掃除をしたり、歯のチェックをしたり、この他にもやることがたくさんです。ケイコは次の誕生日で満 6歳、アンとファファは満11歳になります。動物園で暮らすレッサーパンダは長くて20年ほどの寿命なのでアンとファファは健康により注意が必要なお年頃になってきました。検査でしっかり見なければいけない項目も昔より増えています。健康診断にはこうした個体ごとの体調チェックの他にも、もうひとつ重要な意味があります。野生動物の健康に関するデータは家畜と比べてとても少なく、まだまだわからないことだらけで、動物園で飼育されている動物たちの検査結果を積み重ねていくことが彼らの未来の健康を守るための地道な手段でもあります。今はまだわからないことがわかって、治りにくいものが治るようになって、寿命も少し伸びるかもしれない。野生で生きる彼らの助けになることがあるかもしれない。そんなことを思いながらやっています。

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VOL.51 パンダのやぐら

体調を崩した動物の一部は、病院に入院して治療をします。病院の常連になるのは当然好ましいことではないのですが、まったく病気もけがもなく過ごす動物がいる一方で、たびたび入院する個体もいます。 そのうちの1頭がプレーリードッグのオス、ピーターです。歯を折ったり、顎に膿がたまったりして何度も入院しているのですが、今回は皮膚に真菌(カビの仲間)が感染して毛が抜けてしまい、しっかり治すために入院することになりました。 病院慣れしているピーターは、以前の入院でも我が家のようにくつろぎ、ヒトが部屋に入ってくると、かまってほしくて声を上げ、あごやお腹を撫でてもらってウットリしていたのですが、今回の入院はプレーリードッグのオスが発情期を迎え、非常に攻撃的になる冬です。現に、入院直前のピーターは、清掃や給餌でやむなく展示場に入る職員を威嚇し、時には飛び掛かって噛みついてくるほどでした。こんな状態での入院だったので、病院でも以前のように甘えてくるどころか、おとなしくしていないのだろうな…と思っていたのですが。不思議なことに、入院翌日から嘘のようにおとなしくなり、以前のように甘えるのです。他の個体と一緒の時は強いオスとしてメスを手に入れなくてはならないのですが、その必要がなくなったからなのか、それとも入院室がよっぽど落ち着くのか、真相はわからないものの、良い患者さんなので助かっていることは確かです。

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4 月4日、レッサーパンダのケンタが繁殖のため、兵庫県にある姫路セントラルパークへ引っ越しました。かわいい顔で体が大きく力も強く、毎晩のように寝室では自分より重い木箱をひっくり返す「暴れん坊」だったので、その存在感は一際で、職員もいなくなった寂しさをひしひし感じています。 これからは姫路で元気に存在感を発揮してくれることを皆様とともに祈っております。ケンタ、元気でね!

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この冬は暖冬でしたが、暖かくなるのも心なしか早く、動物たちの春の渡りやうごめきも早いような気がします。 暖かくなると出てくる動物のひとつが蚊です。今年は4月半ばには飛び回っておりました。 蚊に刺されるとかゆくて不快なだけでなく、衛生害虫と呼ばれ、蚊が媒介する病気が深刻です。人間ではデング熱や日本脳炎などのウイルスが有名ですが、赤血球に寄生するマラリア、血管に寄生するフィラリアなどの寄生虫も運びます。血を吸われるときに、病原体を動物に感染させていくので、水場が多く、屋外で過ごす動物が多い動物園にとっては嫌な存在です。しかし、たとえばフィラリアであれば、蚊に刺されて動物の体の中に侵入した子虫を薬で殺すことができるため、レッサーパンダたちは蚊の季節は毎月1回薬入りのリンゴを食べることで健康を保っています。現在 4頭いるパンダのうち、3頭は上手にりんごを片手でつかんで食べるのですが、ケイコはまだまだ下手っぴなため、薬を上手に食べられるか心配です。ただし、血を吸わない種類の蚊もいます。血を吸う種類であっても、メスが産卵準備の時期に吸うだけです。それも、気温が15℃を超えてこないと吸血しないと言われています。…とわかっていても、飛んでいるのを見るだけで警戒してしまうのですが。 ちなみに、リスザルやオマキザルたちは、しばしば涼しい顔をして蚊を片手でキャッチしています。動体視力も反応の速さも、かないません。

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