VOL.49 獣医の日記
5月に元気なマーコールの子どもたちがたくさん生まれました。3日連続でポコポコ生まれる日があるなど、今年は同時に集中して生まれた印象です。残念ながら生まれて間もなく死んでしまった子もいますが、現在7頭がすくすく育っています。 その中の1頭が現在足の治療のため、母親と一緒に隔離されています(詳しくはまたそのうち書きたいと思います)。治療を開始したころは毎日、今でも数日に一度、数十メートル離れた病院へ連れて行くのですが、「処置が数分で終わり、すぐに再会できる」ことが、母親も子どももわかりません。毎回毎回、治療される子どもは本気で逃げ回り、母親は子どもが獣医たちに抱えられた瞬間から鳴き始めます。この声がとにかく切ない叫び声で、個人的には後ろ髪を引かれるような思いにもなります。処置が終わって獣舎に戻しに行くと、遠くから悲しい鳴き声が聞こえてきて、扉を開けると立ち上がって待っていることもあって、思わず「ごめんねぇ…」と声をかけてしまいます。 一方の子どもは、抱かれたとたんにすべてをあきらめたかのようにピタッとおとなしくなり、治療中も一切騒ぎません。母親との温度差に最初はこちらも不安になりましたが、処置を終えて獣舎に戻る道すがら、母親の声が聞こえ始めると反応してグネグネ動きだすので、そのたびに、我慢しなくてもいいよう早く治ろうね…と思います。