VOL.50 ピックアップ動物

ニホンジカのうち、本州に生息する亜種です。 木漏れ日のような白い斑点模様の夏毛と、くすんだ褐色の冬毛を持ちます。お尻の周りの毛は白く、興奮すると逆立って、白いハート型にはっきり目立ちます。 オスの角は毎年生え変わります。春先に古いものが根元から落ち、産毛の生えたやわらかく、血管豊富な皮膚にくるまれた袋角が生えてきて、夏から秋にぐんぐん成長し、9月ごろ皮が乾燥して剥け、立派な角が姿を現します。秋、繁殖期を迎えたオスは木の幹などで角を研ぐ姿がよく見られます。角はどんどん鋭くなり、オスの気性も荒くなっていきます。野生と同様に、角を突き合せた力比べも始まりますが、動物園の限られた敷地内では負けたものが「消える」ほど遠くに行くことはできず、大けがや死亡事故につながることもあるため、 ちょうど良いタイミングで、角を根元だけ残してのこぎりで切ってしまう、「角切り」を実施しています。タイミングが早すぎれば出血し、遅ければシカのケガの危険が高まります。また、一度にやらないと、残ったシカが角を切られた他のシカの姿を見て自分より弱いと思い込み、暴君となって手が付けられなくなることもあります。 角を切ればシカ同士の闘いでの危険は減りますが、人間がまともに頭突きされればただでは済みません。目元にしわが寄り、言葉の通じない怖さを持った姿は、もし野生で出会っていたら覚悟を決めてあきらめるしかないなと思わせます。

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